パリ・ロンシャン競馬場にて凱旋門賞を観戦
日本のホースマンの夢、それは日本馬による凱旋門賞制覇です。今年(2022年)は日本から4頭が出走とのこと。そんな彼らの悲願を見届けるために、パリのロンシャン競馬場まで行ってまいりました(結果は悲願達成ならず、でしたが)。とはいえ、私はホースマンではないですし、普通のサラリーマンです。遠い昔にダビスタで頑張って凱旋門賞を目指していたくらいの普通のアベレージ人間です。そんな私のような平均的な日本人の感覚をもった方が、ロンシャン競馬場に行ってきて、凱旋門賞を見てくるにあたり、疑問や不安に思うことに焦点を当てて、書いていきたいと思います。来年以降、もし行かれる方の参考になれば幸いです。今回は、「アベレージの方が疑問に思うであろうことを、アベレージ志向の私が調べてお伝えする」といった当ブログの原点に立ち返り、いつもと少し趣向を変えて、想定問答集のような形式で書いていこうと思います。
この記事の対象者は
日本のホースマンの悲願を現地で見届けたいと思っているが、以下のことがよくわからなくて、躊躇されている方。
・凱旋門賞当日の入場チケットの買い方は?
・ロンシャン競馬場への行き方は?
・競馬場の雰囲気はどんな感じ?
・指定席はあるの?その席はどういう感じ?
・ドレスコードはあるの?
・馬券の買い方は?
・グッズショップはあるの?
・パドックの様子は?
・レース中の雰囲気は?皆、叫んだりするの?
・実際のところ、レースは見やすいの?
・払い戻しの仕方は?
・日本馬は買うべきか?
こんなところでしょうか。
今回は、質問&回答形式で、シンプルにいきますよ!(話が長いと指摘を受けることが多々ありますので)
1)凱旋門賞当日の入場チケットの買い方は?
当日券も買えるようですが、わざわざロンシャン競馬場まで行って入れないなんて事態になってはいけませんので、予め購入していくべきだと思います。事前購入のほうが、若干割引もあるようですし。
凱旋門賞のチケットは、France Galopのサイトから購入できます。
https://www.evenements.france-galop.com/en
確か、こんな感じのアイコンから辿っていけたはずです。カタールとか書かれていますが、このPRIX DE L'ARC DE TRIOMPHEというのが、凱旋門賞ということです。

チケットの種類は、何種類かあります。レストランで豪華な食事とセット、なんてものもあるようです。ただ、あくまでアベレージ的視点から書いていきますので、今回は、まあ一般的かなと思われる、主に下記の3つに絞って説明したいと思います。
・ARC GARDENS:一番安いチケットで、ゴール板を過ぎたあたりのエリアに入れるチケットです。確か20ユーロくらいだったと思います。
・Winning Post Enclosure:ARC GARDENSより高くなります。こちらは、ゴール手前の直線およびゴール前あたりのエリアに入れるチケットです。確か65ユーロくらいだったかと思います。さっきから「確か」と言っているのは、一旦France Galopのアカウントを作るとちょくちょく、「今なら〇ユーロ」みたいなセール情報のメールがきて、正確な定価がよくわからなくなってしまっているからです。
・WINNING POST STAND GOLD:スタンドの指定席です。このチケットだけ土日2日間を通しての販売となっており、249ユーロとだいぶお高いです。私は、これを買ったので、金額は、「確か~だったと思う」ではなく、これで間違いありません。下位互換がありますので、このチケットがあれば、(高級レストラン等の高級エリアを除いて)だいたい主だったところは歩き回れると思います。私は取材?も兼ねていますので、これにしました。
購入するには、France Galopのアカウントを作成することになります。実際のチケットは、そのアカウントにログインしてから、ダウンロードして印刷することになります。正確に言うと、あまり早く買いすぎると、まだチケットはダウンロードできなくて、時期が迫ってくると、そのアカウント内からダウンロードできるようになるという仕組みです。
2)ロンシャン競馬場への行き方は?
ロンシャン競馬場は、パリ16区のブローニュの森にあります。実際に行ってみて思ったのですが、意外と不便です。最寄りの駅から遠いんです。私はパリにはあまり明るくないですが、おそらく地下鉄1号線が便利そうなので、その1号線の停車駅であるPorte Maillot(ポルトマイヨ)駅からのアプローチが一般的なんじゃないかと推測します。
Porte Maillot(ポルトマイヨ)駅からは、無料シャトルバスが出ています。
到着後は、持っているチケットの種類によって、入場口が違うようでした。けど、ご心配は無用です。係員はたくさんいますので、その人たちに自分のチケットを見せたら、ここだ、というように教えてもらえますので。
まずはセキュリティチェックがあり、その後、いよいよ競馬場内に入場していくという流れです。


3)競馬場の雰囲気はどんな感じ?
第一印象は、思ったよりも小さい競馬場だな、という印象です。あくまで観戦エリアが、という意味です。馬が走るコースは、遥か遠くのほうまで広がっています。
入場門をくぐると、まずは可愛らしい馬の銅像があります。何という馬かはよくわかりませんが、東京競馬場でいうところの、トキノミノル像ということなのでしょう。待ち合わせスポットとして使われている感じです。

日本と明らかに違うのは、日本でよく見かけるような競馬場に入り浸っているようなオジさん達はここにはいません。また、サッカースタジアムとも客層は違うようです。皆さん、身だしなみもちゃんとしています。この日は凱旋門賞ということもあって、カップルや家族連れで賑わっています。もちろん、日本人の方もかなり多くいらっしゃいました。

スタンドを抜けて、コースのほうまで来てみました。見てください(下写真)、この雰囲気。紳士・淑女たちが、ワイングラス片手に談笑しています。明らかに日本の競馬場とは雰囲気違います。それしても、スーツ率高めです。

今度は、スタンド側を振り返ってみます。2階や3階では、ラグジュアリーな方々がシャンパン飲みながら語らっているようです。

よく、「ヨーロッパで競馬場は社交の場」なんてことは耳にしたことはありましたが、実際のところ、本当かよ?と思っていましたが、実地確認の結果、どうやら事実のようです。
4)指定席はあるの?その席はどういう感じ?
前述いたしましたとおり、WINNING POST STAND GOLDがそれになります。ただ、このチケットは席数に限りがありますので、早目にSold outになってしまう傾向があります。もし、希望される方は、早目の購入をお勧めいたします。ちなみに私は、4月終わりごろに買っています。その時点では余裕で買えました。
まず、このエリアの入り口に向かいます。入場門からスタンドをみて、2階にあがって、右のほうです。受付を済ますと、こんなリボンを腕に巻かれます。これが、目印となって、今後は、エリア外に出たときもこれを見せれば戻ってこれるという仕組みです。

座席および座席から見える景色はこういう感じです。

ちなみに、購入したときには、座席番号はわかりません。しばらくして、時期が近づくと、チケットがダウンロードできるようになるのですが、そのチケットに座席番号が載っていて、初めてわかるという仕組みです。したがって、席の指定はできません。運営側が勝手に割り当てるようです。こんな感じで、席の背中のところに番号が書かれています。これは私の前の席の背中側を撮ったものなので、文字が逆さになっています。自分の背中側にこのような番号が書かれているということです。ちなみに、隣の席との境目はないタイプ(ベンチシートタイプ)の椅子です。両隣が太った人だとちょっと辛いかもしれませんね。

5)ドレスコードはあるの?
ドレスコードがあるのかないのか、チケットをよく見なかったので、書いてあったのかどうか定かではありませんが、私の今回の経験から申し上げますと、指定席エリアの場合は、スーツ着ていったほうがいいです。いや、むしろ着ていくべきです。決まりがあろうがなかろうが、もしカジュアルで行ったら、ちょっと気恥ずかしい気持ちになります。
論より証拠。ということで、私の席から左右見渡した風景を添付します。

何なんでしょう、このスーツ率の高さは。競馬場ですよ、ここ。就活か!と突っ込みたくなるくらいです。やはり日本の常識とはだいぶ違うようです。

ということで、指定席の方はお気をつけください。
指定席以外の場合は、それほど気にする必要はなさそうです。スーツ(およびジャケット含む)対カジュアルでいうと、半々くらいだったと思います。
6)馬券の買い方は?
馬券は、ところどころにある機械で購入可能です。ただ日本のマークシートと違って、その場で操作しますので、あまりモタモタするわけにもいきません。

上写真の機械の右のほうを見て頂いておわかりのとおり、クレジットカードと現金、どちらでも購入可能です。
これが、最初の画面です。上のほうに国旗のマークがあるので、イギリス国旗、つまり英語にしてから操作開始です。

大きくわけると、左から3つのエリアがります。一番左の1のところは、競馬場名です。日本のマークシートでいうところの、東京とか阪神とか塗りつぶすイメージです。ここはR1のロンシャンを選択します。
2のエリアは、レース番号です。日本でいうと、何レース、ということです。凱旋門賞はC4レースです。
そして、その次(3のエリア)が、馬券の種類です。ここが難しいです。私も正確には全て理解しておりません。というのも、JACKPOTとか正直もうわけわかりません。おそらく、一般的な方は、左上の「Simple」、右上の「Couple」、2段目左の「Trio」くらいではないでしょうか。
・Simple:単勝、複勝の方はこちらを選択します。
・Couple:馬連、ワイドの方はこちらを選択します。
・Trio:三連複、三連単の方はこちらを選択します。
私は、今回ワイドを購入してみましたので、そのやり方を書きます。おそらく、他の種類もほぼ似たような流れとなるはずです。
ワイドの場合、Coupleを選択します。すると、次のような画面になります。ただ、この画面は、さきほど「Couple:馬連、ワイドの方はこちらを選択します」と書きましたが、つまり、ここまでは、馬連、ワイド共通の画面です。ここで、(下写真の)上のほうに、GAGNANTとPLACEと書かれたボタンがあるのがおわかり頂けるでしょうか。ここが馬連とワイドの分岐点です。ワイドは、Couple Placeと言います(逆に馬連はCouple Gagnant)ので、ここでは「Place」を選択します。

後はだいたいおわかりですね、馬番を選んで、金額選んで、Validateで終了です。ここで馬番についても、注意点ですので、触れておきます。馬券購入の際には、馬番号を指定して買ってください。ここ、少しわかりにくいのですが、馬番号のほかに発走番号というのが存在します。例えば、ドウデュースは、馬番は19番でしたが、発走はそんなほぼ大外からではなく、内目の3番からの発走でした。これが紛らわしいのですが、例えば、JRAのホームページの出馬表には、(今はなくなってしまって見れないのですが)一番左側に馬番号、一番右側に発走番号が書いてあったと思います。この馬番号は馬のゼッケンにも書かれている番号です。必ず、馬番号で馬券は購入してください。馬券購入時には、発走番号という概念は無視してください。
7)グッズショップはあるの?
はい、先ほどちらっと触れた仮称トキノミノル像の後ろに、特設テントが設置されて、そのなかが売店になっていました。

売っているものは、こんな感じです。例えば、オグリキャップ号のぬいぐるみみたいな、ちょっとかわいらしいようなものは一切なく、メモ帳やカップ、ライターなどに、カタール ラルクドゥトゥリオンフ云々と印字されているような、結構ガチ目なグッズでした。もうちょっと砕けた感じのものがあってもいいのに、と思った記憶はあります。商品の種類は、非常に少ないです。

8)パドックの様子は?
パドックに来てみました。日本のパドックと比べて、だいぶ趣きが感じられます。最初に、パドックの流れからご説明いたしますと、まずレース前に馬達がパドックに現れるのは当たり前の話なのですが、レース後にもパドックに戻ってきます。つまり、前レースが終わって、そのレースを走り終わった馬が戻ってきて、勝利した馬には、「おめでとう!」みたいな歓声があがって、それが終わったら、次レース出走馬達が登場するという流れです。従いまして、該当レースのパドックはかなりレース直前になってしまいます。例えば、凱旋門賞は16:05発走なのですが、16:00頃までパドックに馬がいました。そのかわり本馬場での返し馬はないようです。

これはドウデュース騎乗の武豊騎手です。思えば、スーパークリークの初G1から始まり、オグリキャップの奇跡の復活劇、メジロマックイーンの圧勝からの降着劇、サイレンススズカの悲劇、ディープインパクトのときの「飛んでる感じ」、キタサン祭りでマイクをふられてはにかむあなたのその姿、その酸いも甘いも今まで見届けてきました。確かに、最近は、外国人ジョッキーや地方出身ジョッキーの台頭、落馬事故などもあり、また社台系の馬の騎乗も少なくなってきていることから、今までのようなダントツの成績というわけではありませんが、それでもパイオニアには違いありません。凱旋門賞に騎乗する名だたる、腕っぷしの強い外国人ジョッキーには追い負けすることなんざ、百も承知です。それでも、なんだかんだ言って、やっぱり日本人で勝ってほしいのは、武豊ジョッキーです。そんな日本人アベレージの思いを代表して、「武さん、頑張って!」その短い言葉に万感の思いを乗せて、武豊ジョッキーに声を掛けます。

これは、ディープボンドと川田騎手。きりっとして、集中している様子です。いまや川田騎手は名実とも日本のトップジョッキーです。きっと、数年後、もし日本人ジョッキーで凱旋門賞を勝つことができるとしたら、きっと川田ジョッキーなんでしょうね。(その前に、日本の馬で初という点でいうと、ルメール騎手、ムーア騎手、デットーリ騎手あたりの外国人ジョッキーが日本馬に騎乗して、最初に勝ってしまうような気もしますが)

これはルメール騎手とステイフーリッシュですね。ルメール騎手は名手ですが、今回はさすがに乗り馬には恵まれなかった感は否めません。とはいえ、矢作厩舎という厩舎力は侮れません。いつか、日本馬で凱旋門賞制覇という夢を矢作先生が実現させてくれる可能性は大いにあると思います。あくまで素人の意見ですが。

最後に、注目のタイトルホルダーです。残念ながら、横山和生騎手が跨った姿は撮れませんでした。奥のほうにいるのが、横山和生騎手です。他の日本人ジョッキー達からはピリッとした緊張感を感じられたのですが、どうも和生ジョッキーからは、何も考えていないようななんとも言えない雰囲気を感じます(いい意味か悪い意味かはご想像にお任せします)。関係者に言われるがままに飛行機乗ったら、こんな遠いところまで連れて来られちゃったよー、みたいな。それが、逆に、なんとも一発の雰囲気を漂わせています。

すいません、好き勝手なこと書いてしまいましたが、アベレージ的素人の意見だと思ってお許しくださいませ。先ほど申し上げたように、パドックからレースまで、時間がかなりタイトなので、急いで定位置に戻らなくてはなりません。
9)レース中の雰囲気は?皆、叫んだりするの?
日本のG1のようなファンファーレはありません。カンカンカンという鐘がなって、始まります。場末の競輪場みたいな始まり方です。

私は指定席に急いで戻って見ていましたが、レース後半になると、先ほど、まるで就活か、というくらい正装で上品に飲んでいた近くに座っていた方々が、ゴー!ゴー!とか言って叫びだします。何を言ってるのか正確には聞き取れませんでしたが、皆さんだいぶエキサイトしていた様子でした。指定席でも叫びは有りのようです。

10)実際のところ、レースは見やすいの?
この質問、いい質問だと思います。ぶっちゃけ見やすくはないです。テレビ中継をやっているかはわかりませんが、やっているならばテレビのほうが見やすいと思います。
なぜ、見にくいか?を考えたときに、まずは、フォルスストレートっていうんですかね、ロンシャン競馬場名物の。あの最後の直線の前にある直線。あれが観客席から遠すぎます。
それから、馬が判別しにくいのというのもあります。日本のように、枠番で帽子の色は決まりません。ということは、まずゼッケン番号を見なくてはいけないのですが、これが豆粒みたいでよくわかりません。後は、手がかりは勝負服ということになるんでしょうが、私たち日本人は、普段から欧州の競馬を見ているわけではないので、〇〇オーナーはどういう勝負服なのか、というったことはさっぱりわかりません。下写真は、勝ったアルピニスタが抜け出してきたところです。白地に緑のストライプ・・・。我々普通の日本人には、石川達絵オーナーのキセキが抜け出してきたようにしか見えません。あるいは、緑の本数すら確認しずらいので、なんとかバローズが来たんじゃないの?とすら見えてしまいます。

結果は、アルピニスタいう馬が勝ったようです。この下写真の、キセキと似ている勝負服の馬がアルピニスタです。ちなみに、ジョッキーは白い帽子を被っていますが、1枠でもなんでもありません。

11)払い戻しの仕方は?
払い戻し方法については、申し訳ございません。私は当たらなかったので、自分の経験に基づいての発言はできないのです。が、一応、当たった人に聞いてみたところ、まずは、当たり馬券を機械にいれて、バーコードだったかQRコードだったかの紙に一旦変換するようです。その紙をもって、場内のところどころにいる係員の人にそれを渡して、換金してもらう、という流れとのこと。今度、自分の経験で立証できる機会がもしあれば、そのときは、この部分を更新しておきますね。
12)日本馬は買うべき?
正直、私もここまで圧倒的に差があるとは思っていませんでした。今回のレースは、日本馬の最高着順がタイトルホルダーの11着。ドウデュースに至っては19着です。
最初は、競馬なんて展開のあやがあるんだから、10回に1回くらい、もしかしたら日本馬が来るかも。その1回を逃してしまったら、悔いが残るから買っておこうという考えから、日本馬を買ってしまいましたが、全然だめでした。そんな甘いもんじゃないです。もしこれがファミコンだとして、リセットボタンを押して100回やり直しても、たぶん来ないでしょう(ていうか、ダビスタってレース中リセット押したらどうなるんでしたっけ??すっかり忘れてしまいました)。それくらいの差はありました。
本当に、このロンシャン競馬場(というか欧州競馬)は、日本馬にとって、特殊な馬場です。日本ではスターホースでもなかなか通用しません。馬券での勝ちにこだわるならば、私のように、「その1回を逃してしまったら、悔いが残るから」って買わないほうがいいと思います。ただ、一方で、競馬にロマンを追う方は、それこそもし来たら後悔するので、買ってもいいのかなと思います。言ってみれば、何にこだわるかだと思います。ただ、日本馬を買う場合は、外れる確率は非常に高いので、ご注意ください。
できれば、3歳の斤量が軽いうちに挑戦したほうが有利なのは間違いありません。個人的には、クロノジェネシスが3歳時に行ってほしかったなとは思います。が、今更そんなこと言っていても始まりません。来年以降、3歳のスーパーホース(しかも欧州血統)の出現を期待しましょう。
それでは、また。