フランスとスイス・車を運転するときの注意事項(ヴィニエットとLow Emission Zoneについて)
前回のお話で、ミンサンミッシェルまで車で行ってきたことをお伝えさせて頂きました。一方で、以前に、「新たな国で運転する場合は、まずはヴィニエットとLow Emission Zoneについて調べるようにしてください」と提唱させて頂いておりました。今回フランスの、特にパリ近郊を通ったにもかかわらず、この点、お伝えしておりませんでした。大潮のモンサンミッシェルを、早く皆様にお伝えしなければと思い、少し焦ってしまいました、申し訳ありません。もちろん、フランスのことを少しは調べてはおりますので、お伝えできればと思います。また、それだけだと、読み応えに欠けてもいけませんので、私の住むスイスについて(これも今まで触れていなかったと思います)も、ちらっと触れておきます。よって、こんな感じの構成を考えています。
1.フランス
1-①.ヴィニエット
1-②.Low Emission Zone
2.スイス
2-①.ヴィニエット
2-②.Low Emission Zone
それぞれの国の在住者にとっては当たり前にことだと思いますので、対象者はそれぞれの在住者以外ということでお願いします。
この記事の対象者は
1.フランス在住者以外の方が、フランスを運転しようと思っているが、どのような規制があるか不安に感じている方。
2.スイス在住者以外の方が、スイスを運転しようと思っているが、どのような規制があるか不安に感じている方。
それぞれの国の制限速度(高速道路、一般道路、市街地など)はありますが、それはそれで重要なことですが、ここでは対象外とさせてください。おそらく調べれば、すぐに出てくると思いますので。ここでは、ヴィニエットとLow Emission Zoneに限った話とさせて頂きたいと思います。
1.フランス
1-①.ヴィニエット
ヴィニエットとは、高速道路を走る際に貼っていなければならないスティッカーのことで、その本質は、要するに「前払い式の高速料金」ということになろうと思います。つまり、議論の出発点は、高速道路が無料か有料か、というとところから始まります。
この点、フランスの高速道路は、無料の区間と、有料の区間があります。私がよく走る、バーゼル~ミュールーズ~コルマール~ストラスブールあたりは、無料区間なので、そもそもヴィニエット議論の対象になりません。
ところが、ミュールーズからパリ方面に向かうときには、有料区間を走ります。しかもだいぶ長いこと有料区間を走ります。では、こういった有料区間は、ヴィニエットが必要なのか、と言われると、答えはNOです。必要ありません。料金所が設置されていて、その都度支払うという仕組みです。この点、イタリアと非常によく似ています。
ですので、フランスの高速道路は、無料区間と有料区間があるにせよ、いずれにしても、ヴィニエットは不要という結論になります。
1-②.Low Emission Zone
Low Emission Zoneはあります。注意が必要です。都市によって、規制対象が商用車だけだったり、となかなか複雑なスキームのようです。多くの都市で採用されていますので、全てをご説明はできませんし、またこういったレギュレーションはどんどんアップデートされていきますので、出かける際には、念のため最新情報を調べてから行った方がいいと思います。
今回は、そのなかでも、多くの人が影響を受ける可能性があるパリについて、2022年8月時点のものをお伝えさせて頂ければと思います。
まず私が調べたところによると、公式のものは、どうもフランス語のものが多いようです。
英語ものは、公式ではないサイトが多いので、他人のURLを勝手に貼り付けてもいけないので、控えますが、英語で探してもたくさんでてきます。
公式や非公式などを見ていったところ、本当に複雑です。何が複雑にさせているかというと、彼らは一気にやらずに段階(フェーズ1とかフェーズ2とか)を経て規制をかけていこうとしているようなんです。そして、一方でZoneも、パリ中心地や、グレーターパリ(パリ郊外)にわけ、さらには、車の種別(重量車とそれ以外)も分けて、細かくフェーズごとに厳しくしていく、という方策のようです。これがなかなか複雑にさせています。しかも公式のものはフランス語だけ、という感じなんです。外国の車も適用対象なのに、です。
ですので、2022年8月時点の今のフェーズで、普通乗用車が、どこまで入れるのか、ということくらいしかうまく説明できません。
今時点での結論は、私の読解力が正しければ、下記のZoneへ普通乗用車が入るには、少なくともスティッカー3が必要のようです。ただし、これには時間帯があって、Monday to Friday from 08:00 - 20:00 にこの規制がかかるようです。

上記の規制はあくまで2022年8月時点のもので、次のフェーズには2023年1月に移行します。ここからは、(今はスティッカーが3のとところ)2になるようです。
スティッカーは、3、2、1となるにつれ、環境に優しいものとされますので、つまりは段々と、環境に優しい車しか入れないということになっていくようです。
以前は、Ring(環状線)の内側とか、A86号線の内側とかで区切って、それぞれのスキームで運用されていたような気がしましたが、今はグレーターパリということで統一されていく方向のようです。違ってたらすいません。が、こういうのって、範囲が大きいほうに違ってる分には、大きな問題にならないと思いますので、今はこのグレーターパリという大きな括りで見ていけば、まあいいかなとは思っています。
このグレーターパリという区分け、道路で区切ってくれたほうがいいのに、自治体で区切っているように見えます。そっち(自治体)都合なのは、理解しますが、ドライバー目線からはちょっと嫌ですよね。普通、自治体の区切りって、道路を走ってたら突然知らぬ間に変わっているもんだと思うんです。こんなことされると、どこから規制がかかるか、ムズくないですか?〇号線の内側、とかにしてくれればいいのに、とは思います。
なんだかややこしいですよね。これは、もうステッカーを取得してしまったほうがいいと思います。と思って、私は以前、このページから取得しました。
https://www.certificat-air.gouv.fr/
例によって、必要情報の登録と、車の登録証の写真を送りました。その2日後に、おそらく審査が終わったのか、メールでインボイスが送られてきました。3.11ユーロ+郵送料1.40ユーロ=4.51ユーロでした。そして、ご丁寧に、「スティッカーが届くまでの間は、このインボイスがスティッカーの代用として使用できる」とまで書いてくれています。なので、パリに行こうと思っていて、スティッカーを取得しようと思っている方は、2日前(余裕をみて3日前)までに申請しておけばいいと思います。

無事にスティッカーが届いたら、車のフロントガラスに貼っておけばOKです。指で隠したところには、ナンバープレートのナンバーが印字されています。これにて、フランスの車旅は、上記のややこしいLow Emission Zoneからは解放されます。
私の場合、これがあったので、モンサンミッシェルへ行くときにパリをかすめたのですが、あまり気にしていなかった(結果的には、そもそも土日でしたが)ため、前回のブログでは、この話題をスルーしてしまいました。すいません。
2.スイス
続きまして、スイスについても触れておきます。私はスイスに住んでいるので、あまり気にしていなかったのですが、よく考えると、近隣諸国からスイスに来られる場合、この話題も知っておきたい方もいらっしゃるだろうと思い、フランスのついでみたいで恐縮ですが、お話させて頂きます。
2-①.ヴィニエット
前述のフランスと違って、スイスの高速道路はヴィニエットは必須です。貼っていないで高速道路を走行した場合は、罰金をとられますので、注意してください。
で、どこで購入するかといいますと、ガソリンスタンドなどで買います。私の知っている限りの国境のパターンで言いますと、ドイツ(ジンゲンあたり)やオーストリアからスイスに入国する場合は、一般道路で入ってくるので、スイスの高速道路に乗る前にガソリンスタンドがあると思います。そこで買ってください。一方、フランス(バーゼル)やイタリア(キアッソ)からのように高速道路のまま入国する場合は、国境の建物で買えるはずです。たしか、「ヴィニエットはこここで買える」みたいな看板を見たことある気がします。まずは買ってから、高速道路の運転を再開してください。
スイスに住んでいる者としては、これはもう年パスの感覚です。年末が来ると、来年用の年パスを買っておくか、という感じです。そうなんです、これは買ったときから1年有効ではなくて、2022年用なら、基本的には2022年しか使えません(正確にいうと、2021年12月1日~2023年1月31日と前後1ヶ月のバッファあり)。
ということは、11月に買った場合は、残り数か月しか使えないということになります。住んでる我々はこれで特に違和感はないんですが、近隣諸国から来る方にとっては、ちょっとひどい話ですよね。
しかも、1年ものしかないんです。オーストリアなんかは、旅行者のために10日用とか2ヶ月用とか用意されているのですが、スイスにはそれがありません。1年もの1種類だけです。しかも、その日から1年間ではなくて、原則その暦年オンリー、ということです。旅行者には優しくないとは思います。
で、気になるお値段は、1年もので、40スイスフランとなります。これは、スイス在住者にとっては、40フランで1年間乗り放題ということなので安いです。が、一日だけスイスに来られる方からすると、高く映るとは思います。が、そういう仕組みになってしまっていますので、仕方ないです。
2-②.Low Emission Zone
最後に、Low Emission Zoneについて。スイスには、存在しません。ヴィニエットさえ付けていれば、ほとんどの道路を走ることができます。環境のことを気にしそうな国なのに、ちょっと意外な気もします。なんで無いのかは、正直知らないので、これが理由になるかどうかはちょっとわかりませんが、スイスで暮らしていて思ったのは、そもそも環境に悪そうな(いわゆる旧式の)車は、ここではほぼ見かけません。皆さん、高そうな、そして新し目の車ばかりです。スイスの方々は、それなりにお金を持っているということなんでしょう。まあ、けど、それが理由というわけではないとは思いますが。結果的には、この国には、空気を汚す車自体が少ないとは思います。
最後に、スイスで運転される方に、注意して頂きたい点があります。この国では、スピード違反に特にご注意ください。バシバシ、写真撮られます。カメラはほんと多いです。お気をつけください。
気をつけるのは、違反に、という意味だけでなく、是非とも安全にも気をつけて頂いて、皆様が楽しいドライブ旅行をされることを心から願っております。
では、今日のこのへんで。ではまた。