ドイツ(特に都市部)へ車で行かれるときの注意点
夏休みが近づいてきました。この時期、ヨーロッパを車で旅行を計画されている方も多いと思います。特に今まで行ったことのない国を運転するのは、なにかと不安があると思います。そういった方々に向けて、「ヨーロッパの国々でのドライブ旅行を計画する際には、主に、ある2つの観点を意識して調べることが重要で、今回はそのドイツ編です」というお話です。おそらくドイツ在住者にとっては、そんなの常識だろ、と怒られてしまってもいけませんので、今回の対象者は、ドイツ在住者以外(特に近隣諸国からドイツに車で入る方)とさせてください。
この記事の対象者は、
ドイツ在住者以外で、車でドイツへ入国しようと計画しているが、以下の点を不安に感じている方。
・高速道路料金について。
・都市部に行こうと思っているが、なんらかの制限がないのか不安。
等々です。
まず、初めに、これから申し上げる情報は、2022年7月時点の情報です。こういったレギュレーションに関する情報は、常にアップデートされていきますので、ここに書かれた情報はあくまで2022年7月時点と割り切って、インターネットで最新情報を取得するという癖をつけることが大切かと思います。その調べる際に、重要となる切り口が、次の2つになります。
1.Vignette(ヴィニエット、ビニエット、ビネット)
2.Low Emission Zone
当然、各国にて、スピード違反や駐車違反も注意すべき事項ですが、わざわざここで言うことではないので割愛させて頂いて、特にこのヴィニエットとLow Emission Zoneは知らないで走行している(しかも知らなくても、走れてしまう)と罰金の対象になりますので、事前に把握しておく必要があります。
1.ヴィニエット
ヴィニエットとは、高速道路を走る際に貼っていなくてはいけない前払いのステッカーです。一般的には、フロンドガラスに貼っておきます。普通に入国し、料金所もなく高速道路が続いていると、何も考えずに走ってしまいがちですが、実は無料ではなく、前払いをしていないといけない(つまりヴィニエットを貼っていないといけない)国がヨーロッパには存在します。ヴィニエットは、10日用とか、1年用とかタイプがあり、ガソリンスタンド等で購入します。なかには、e-Vignetteを採用していて、ステッカーではなく、ネット上での登録でOKのところもあります。が、いずれにしても、お金を払って高速道路を利用することになります。該当国が、ヴィニエットを採用しているのかどうかを調べる必要があります。
ドイツの話に戻りますと、ドイツはヴィニエット制度は現在のところ導入されていません。(ただ、そういう議論があると聞いたことはありますので、いずれ変わるかも知れないですが、今は無しです)
したがって、基本的には無料です。ヴィニエットも不要です。
2.Low Emission Zone
こちらは、ドイツは少し厄介です。簡単に言うと、こちらもあるステッカーを貼っていないと、走行できるところが制限されてしまうというものです。近年の環境保護の高まりを受けて、環境に優しくない車は入ってはいけませんよ、というゾーンのことです。ドイツに限らず、他の国でも導入しているところはあります。が、本日はドイツの話です。
2006年に最初に法律が制定され、その後2010年代に入り、次々に各都市で制度が導入され始めたという比較的新しい制度です。今では、ドイツのほとんどの主要都市部に入るためには、ステッカーが必要、貼っていない車は違反という状況になってしまいました。
そうは言っても、自分の車はそこまで環境に悪くないはずだ、と言い張るだけでは通用しません。ステッカーを貼っていないとそれを認めてもらえません。つまり、No Sticker, No Entryということです。
高速道路を運転していると、ドイツのほとんどの都市で、都市部に入るあたりでこういった標識を見かけます。これがLow Emission Zoneの目印です。

現在では、この看板を見かけない都市は、ドイツ国内ではまず無いと言っていいと思います。詳細は、こういったドイツ当局関連のページ(https://www.bmuv.de/en/topics/air-noise-mobility/air/emissions-control-sticker-low-emission-zone)や、
「low emission zone Germany」などで検索すると、たくさん出てくると思います。ほとんどの都市(都市だけでなく、町も)で導入されていることがわかって頂けるかと思います。はっきり言って避けるのは至難の業です。
制度の細かい設定は、各都市(州?)の行政機関に委ねられているようで、フランクフルトなら「low emission zone in Frankfurt」とか、シュトゥットガルトなら「low emission zone in Stuttgart」とったようにインターネットで検索して、それぞれ調べていく必要がありますが、だいたいの共通点としていえるのが、a. 罰金は80ユーロくらい、b. 24時間運用、c. 外国の車にも適用、d. 高速道路は例外とすることが多い、が挙げられます。dのため、そのまま高速道路を通り抜けることは可能ですが、実際に下りて街に入ることはできないということです。
都市には行かないから大丈夫、という方もいらっしゃるかと思いますが、例えば、シュトゥットガルト郊外にメッツィンゲンというアウトレットモールがあります。ここにスイス方面から行こうとした場合、通常、途中でA81号線を下りて、一般道を走っていくことになると思いますが、この途中にあるTübingenという街も実はLow Emission Zoneを採用しています。この場合は、一般道ですので、突き抜けられません。ステッカーを貼っていない車は、本当は走ってはいけない、ということです。避けることは本当に難しいと思います。
こういう状況になってくると、こちらのやれることは次の3つが考えられます。
①. 知らなかったということにして、一切無視する。
実は私は最初知らなくて、過去にスティッカー無しで、Low emission Zoneに入ってしまったことはありました。が、一度もお咎めはありませんでした。実際には、未だそこまで厳密に取り締まってはいないのかもしれません。各都市の運用状況については、はっきりとわかりません。が、やはり、我々は日本人として、現地のルールにはしっかり従うべきだとは思いますので、お勧めは致しません。
②. Low emission Zoneを避けるルートを走行する。
これは、しっかりと合法ですし、ありだと思います。現に多くの都市で、Low emission Zoneの手前にパークアンドライドを設けているところもたくさんあります。ただ、ゾーンの境目はどこなのか、とかいちいち調べないといけないですし、前述のメッツィンゲンの例のように避けるのが難しいところも出てくる可能性もあります。Google Mapが教えてくれるといいんですけどね、現時点ではそういう機能はないようです。なので、やろうとすればそれなりの労力が要求されます。
③. スティッカ―を入手する。
やはり、王道はこれだと思います。スティッカーは一度入手すると、その(ナンバープレートの)ナンバーに紐づきますので、そのナンバーを使い続ける限り、有効です。最初だけ面倒ですが、一回取得してしまえば、後が楽です。結局、私もこれにしました。
ということで、ここからは、私がスティッカーを取得した方法を、体験を交えてお話させて頂きたいと思います。体験といっても、そんなにたいそうなことはしていません。いたって簡単です。ただし、車が環境に適合していれば、が前提の話になります。もちろん、(ドイツ以外の)外国ナンバーの車でも取得できます。私の車はスイスナンバーです。
スティッカー入手は、いくつかのサイトからできるようですが、私はこのサイトを利用しました。
このサイトを見ていくと、このように、どういう車が何色のスティッカーなのか、ということも説明があります。ディーゼルかガソリンかで、違いはあるものの、よほど古い車でない限り、スティッカーは入手できます。

Buy an emission stickerに進んでいくと、必要情報と、車検証の写真を添付して申請できます。クレジットカード払いで、17.5ユーロでした。
申し込み完了すると、思ったよりも早くスティッカーが届きました。確か1週間もかかっていないと思います。さすがドイツ、ちゃんとしてる、と思った記憶があります。
このように、フロントガラスの助手席側の端のほうに貼っておけばOKです。ちなみに、指で隠してあるところに、プレートのナンバーが印字されてきます。(このスティッカー、ドイツナンバーの車を注意深くみていると、ほとんどの車に装着されていることがわかると思います。おそらくドイツでは当たり前のことなんだと思われます。)

これで、ドイツは安心して走行できるようになります。本当にすぐにスティッカー来ますので、夏休みの旅行シーズン直前のこの時期、取得してみてはいかがでしょうか。是非、参考にして頂き、ドイツに行かれる方は、余計な心配のない状態でドライブ旅行を楽しんで頂ければなあと思います。
以上が2022年7月時点でのお話です。こういったことは、どんどん変わっていきますので、お出かけの前にはこれらの切り口で、最新情報を調べることをお勧め致します。基本的には、緩くなることは考えづらく、厳しくなる一方だとは思います。
また、余談ですが、ギリギリ下に黄色のスティッカ―の端が写ってしまっていますが、これはフランス版になります。
他の国についても、またお話できる機会があれば、お話させて頂きたいと思っていますが、全ての国について触れることはなかなか難しいため、繰り返しになりますが、私の考える2つの切り口「1.Vignette(ヴィニエット)、2.Low Emission Zone をまずは調べること」を、常に意識して頂けたらと思います。
皆様の旅の道しるべになれたら幸いです。では、また。